Claude Codeの起動トークン消費の中身
起動時に送信されるトークン量の比較(プロンプト処理前・最初のリクエスト)
Systima実測値(2026年7月・Claude Code 2.1.207 / OpenCode 1.17.18・モデルはClaude Sonnet 4.5)。
Claude Codeとは、Anthropicが提供するターミナル型のAIコーディングエージェントです。今回Systimaは、Claude CodeとOpenCodeを同じマシン・同じモデルで動かし、中継サーバでモデルに実際に送信されたデータを丸ごと記録するという方法で、両ツールの「見えない消費」を比較しました。
プロンプト処理前に約3.3万トークンを送信
計測に使った作業は「Reply with exactly: OK.」とだけ返させる、わずか22文字の指示です。それにもかかわらず、Claude Codeは指示が処理される前の時点でシステムプロンプト(モデルへ毎回渡される基本指示)・ツール定義・自動挿入される注意書きあわせて約33,000トークンを送信していました。OpenCodeは約7,000トークンで、差は約4.7倍です。
"When we asked both harnesses for a one-line reply, Claude Code used roughly 33,000 tokens of system prompt, tool schemas, and injected scaffolding before the prompt even arrived. OpenCode used about 7,000." — Part I. The floor より
33,000トークンという量は、20万トークンのコンテキストウィンドウ(AIが一度に扱える情報量の枠)に対して単純計算で約6分の1にあたります。コードも会話も読み込んでいない段階で、枠の一部が既に埋まっている計算です。
内訳の大半は27個のツール定義
では、何がそれほどの量を占めているのでしょうか。最も大きいのはツール定義です。約33,000トークンのうち約24,000トークンを、ファイル編集や検索など27個のツールの説明が占めていました。OpenCodeのツールは10個・約4,800トークンで、ここが差の主因です。
"Roughly 24,000 of Claude Code's ~33,000 tokens are tool definitions, versus roughly 4,800 of OpenCode's ~6,900." — Part I. The floor より
ツールを全部外した状態のシステムプロンプト単体でも、Claude Codeは約6,500トークン、OpenCodeは約2,000トークンでした。Claude Codeは応答の口調やタスク管理の作法など、動き方の指示が多く書き込まれているぶん重くなっています。
実運用構成では75,000トークン規模に膨らむ
実運用構成でのトークン上乗せの内訳(Systima実測)
計測はまっさらな環境だけでなく、実際の開発現場に近い構成でも行われました。ここで効いてくるのが、プロジェクトごとの指示ファイルと、外部ツールをつなぐMCPサーバ(AIに外部機能を追加する接続の仕組み)です。
指示ファイルとMCPサーバの上乗せ分
72KBの指示ファイルは平均で約20,000トークン、MCPサーバ5個は5,000〜7,000トークンを、毎回のリクエストに上乗せしていました。その結果、実運用の構成では最初のリクエストが75,000〜85,000トークンに達します。Claude Codeの検証構成(MCPサーバ4個+プラグイン+指示ファイル)では、ツール数が118個・送信データが311KBに膨らんでいました。
"A production repository's 72KB instruction (AGENTS.md or CLAUDE.md) file adds another (avg) 20,000 tokens to every single request. Five modest MCP servers add 5,000 to 7,000 more. By the time a real working setup sends its first request, it is 75,000 to 85,000 tokens deep before the user has typed a word." — Part II. The multipliers より
つまり、起動時の重さの土台はツール本体が決めるものの、実際の請求額を決めるのは利用者側の構成です。同じClaude Codeでも、設定次第で毎回の送信量は2倍以上変わります。
サブエージェント分業は総消費を約4倍にした
もう1つ目を引くのが、作業を複数のサブエージェント(親のAIが子のAIに作業を振り分ける仕組み)へ分担させた場合の計測です。直接実行なら121,000トークンで済んだ作業が、2体のサブエージェントへ振り分けると513,000トークンと約4.2倍に膨らみました。子のエージェントもそれぞれが自分のシステムプロンプトとツール定義を毎ターン読み直すためです。
"A small task that cost 121,000 tokens done directly cost 513,000 tokens when fanned out to two subagents." — Part II. The multipliers より
起動コスト=総コストではない──実測の読み方
実タスク(複数ステップの作業)での累計トークン消費
Systima実測値。起動時の重いClaude Codeが、総消費ではOpenCodeを下回った。
ここまでの数字だけを見ると「Claude Codeは高くつくツール」と結論づけたくなりますが、実測はむしろ逆のケースも示しています。数字の読み方には注意が必要です。
実タスクの総消費では逆転が起きた
基礎分のトークンは毎回のリクエストに再送されるため、総消費は「基礎量×リクエスト回数」でほぼ決まります。複数ステップの実タスクでは、操作をまとめて3回のリクエストで終えたClaude Codeが約121,000トークン、9回に分けたOpenCodeが約132,000トークンと、累計では逆転しました。起動時に軽いツールでも、小刻みにやり取りを重ねれば総額は膨らみます。
"OpenCode paid its ~7k baseline nine times, Claude Code paid its ~33k three times, and the totals converged." — 本文より
また、モデルをClaude Fable 5に替えて再計測すると、起動時の差は約4.7倍から約3.3倍に縮みました。Claude Codeはモデルによって送る指示の量を変えており、比率は固定ではありません。
"The floor gap on Fable comes out at roughly 3.3x by payload against 4.7x on Sonnet. Still far hungrier, but the ratio is model-dependent." — 本文より
消費を抑えるなら構成の棚卸しから
今回の実測から導ける節約の要点は、ツールの乗り換えより先に自分の構成を見直すことです。指示ファイルの肥大化とMCPサーバの入れすぎは、1回ごとのリクエスト全部に上乗せされ続けます。使っていないMCPサーバを外し、指示ファイルを必要最小限に保つだけで、毎回数万トークン単位の削減になり得ます。
細かい挙動の癖にも注意が要ります。検証時点のClaude Code(バージョン2.1.207)は指示ファイルとしてAGENTS.mdを読み込まず、CLAUDE.mdという名前のときだけ取り込んでいました。せっかく書いた指示がファイル名の違いで無視されていないかどうかも、確認対象になります。
"Claude Code 2.1.207 ignored AGENTS.md entirely and only ingested the file when renamed CLAUDE.md, injecting it into the first user message." — Part II. The multipliers より
まとめ:総コストは使い方で決まる
Systimaの実測により、Claude Codeがプロンプト処理前に約33,000トークン、実運用構成では75,000トークン規模を送信していることが数字で裏づけられました。一方で、実タスクの総消費ではリクエスト回数の少なさが効いてOpenCodeを下回る逆転も起きており、起動コストの大小だけでツールの優劣は決まりません。判断材料にすべきは、自分の構成で実際に何が送信されているかです。指示ファイルとMCPサーバの棚卸しが、最も確実な節約の第一歩になります。



