Codex Record & Replayとは(録画でスキル化する仕組み)
Record & Replay の流れ(録画から再生まで)
Record & Replay(レコード&リプレイ=録画・再生)とは、OpenAI が開発するコーディング支援サービス Codex に追加された、Macでの一連の操作を録画して再利用できるスキルに変える機能です。2026年6月18日に、Codexアプリのバージョン26.616で公開されました。ここではまず、その正体と仕組み、従来の自動化との違い、利用に必要な前提を順に整理します。
"Added Record & Replay, a macOS feature that turns a demonstrated workflow into a reusable skill." — 2026年6月18日 / Codexアプリ 26.616 のchangelogより
Record & Replayの定義(一度の実演を再利用できるスキルに)
Record & Replay は、Macの画面でいつもの作業を一度やって見せると、その手順をCodexが覚えて、次回から代わりに実行できるようにする機能です。長い指示文を書く代わりに、実際の操作を一度見せるだけで作業を覚えさせられる点が最大の特徴です。
"Record & Replay lets you demonstrate a workflow on your Mac and turn it into a reusable skill." — Record & Replay ドキュメント冒頭より
ここで生まれる「スキル」は、操作をそのまま焼き付けた録画データではありません。Codexが録画内容を読み解いて、その作業を「いつ使うか」「どんな入力が必要か」「どの手順を踏むか」「結果をどう確認するか」を文章として書き起こした、編集できる手順書に近いものです。OpenAI自身も、この成果物を検査も編集もできるスキルだと説明しています。
"Codex turns that demo into an inspectable, editable skill. You control when recording starts and stops." — Introducing Record & Replay 告知より
従来のRPAとの違い(座標ではなく作業の意図を残す)
これまでの定型作業の自動化といえば、RPA(Robotic Process Automation=ロボットによる業務自動化)が代表的でした。RPAは「この座標をクリックする」「このボタンを押す」といった操作を順番どおりに記録し、同じ動きを再現します。RPAは記録した座標や手順をそのまま再現するため、画面のレイアウトが少しでも変わると動かなくなりやすい弱点があります。
一方の Record & Replay は、操作そのものではなく作業の意図を文章で残します。「経費のCSVをダウンロードして、金額を合計し、申請フォームに入力する」といった目的が言葉で記述されるため、ファイル名や日付、画面の細部が変わっても、その都度Codexが判断して進められるとされています。固定の動きをなぞるRPAに対し、意図を理解したうえで柔軟に実行する点が、両者の根本的な違いです。
CodexやComputer Useとの関係
Record & Replay は単独の製品ではなく、Codexアプリの機能のひとつとして提供されます。動かすには、Codexアプリの設定で Computer Use(コンピュータ操作)を有効にしておく必要があります。Computer Use は、ブラウザやアプリといった実際の画面をCodexが操作するための土台で、Record & Replay はこの仕組みの上で成り立っています。
"Record & Replay is available on macOS. Initial availability excludes the European Economic Area, the United Kingdom, and Switzerland. Computer Use must also be available and enabled." — 対応環境の記載より
Codexはもともと、コードの生成や修正を支援するOpenAIのサービスです。そこにComputer Useと Record & Replay が加わることで、コードを書く支援にとどまらず、画面上の定型作業そのものを肩代わりする方向へ広がりました。同じくAIに作業を任せる文脈では、ChatGPT(GPT-5)でできることと使い方 もあわせて押さえておくと、OpenAIのツール全体の見取り図がつかめます。
Codex Record & Replayの使い方(録画から再生までの手順)
スキルを録画する手順
実際の操作は、難しい設定を必要としません。Codexアプリの画面から録画を始め、いつもどおり作業し、止めるだけです。ここでは録画の手順、録画後にスキルが作られる流れ、そして作ったスキルの再生と編集を順に見ていきます。
スキルを録画する手順(Plugins → Record a skill)
録画は、Codexアプリの「Plugins」から始めます。「+」メニューの「Record a skill」を選ぶと、Codexが作業内容を確認するためのプロンプトを提案します。内容を確認して必要な補足を加え、録画の許可を承認すれば、あとはいつもの作業を画面で実演するだけです。
録画の開始と停止は自分の手元で制御できます。停止はメニューバーやオーバーレイから行えるほか、Codexに「終わった」と伝える方法もあります。録画中は画面の操作とウィンドウの内容をCodexが観察するため、開始のタイミングは作業の準備が整ってからにすると無駄が入りません。
"Open Plugins in the Codex app." / "When you are done, stop recording from the menu bar, overlay, or tell Codex that you are done." — Start a recording の手順より
録画後にスキルが自動で作られる流れ
録画を止めると、Codexが記録した一連の操作を読み解き、スキルの下書きを作成します。作成されるスキルには、その作業をいつ使うか・必要な入力・踏むべき手順・結果の確認方法までが文章で記述されます。
"The skill explains when to use the workflow, what inputs it needs, what steps to follow, and how to verify the result." — Record & Replay ドキュメントより
この記述があることで、スキルは「ただ同じ動きを繰り返すマクロ」ではなく、状況に応じて判断できる手順書として機能します。たとえば毎月の作業で日付や対象ファイルが変わっても、手順の意図が残っているため、Codexが文脈を踏まえて実行できる仕組みです。
録画したスキルを再生・編集する
完成したスキルは、新しいスレッドから呼び出して再生(実行)できます。録画したスキルは検査も編集もできるため、手順を見直したり、説明を書き足したりして精度を高められます。
うまく動かないときは、スキルの記述を直接修正できるのが、不透明なマクロとの大きな違いです。手順の説明が曖昧だった部分を補ったり、確認のステップを足したりすることで、次回以降の再生が安定します。完成度を一度で求めず、何度か実行しながら記述を整えていくのが現実的な進め方です。
Record & Replayのユースケースと向き不向き
Record & Replay が向く作業・向かない作業
向いている作業
- 毎月の経費精算・休暇申請
- 定期レポートのダウンロード
- 決まった形式での課題(issue)作成
- 動画の公開・アップロード
- 駐車スペースの予約など定型の申し込み
向かない作業
- 毎回手順が変わる作業
- 画面のレイアウトが頻繁に変わるサイト
- 1回しか行わない作業
- 成否の判断基準があいまいな作業
- 機密情報の入力が避けられない作業
Record & Replay は万能の自動化ツールではなく、得意な領域がはっきりしています。OpenAIは、繰り返しがあり、自分の好みや手順に依存し、言葉で説明するより見せたほうが早い作業に向くと説明しています。ここでは具体的な用途、向かない作業、そして使う前の注意点を整理します。
向いている定型作業(経費精算・レポート取得など)
OpenAIが例に挙げているのは、経費の申請、駐車スペースの予約、設定済みの課題作成、動画の公開、定期レポートのダウンロードといった作業です。手順が安定していて、成功したかどうかの判断がはっきりつく繰り返し作業ほど、Record & Replay の効果が出やすくなります。
"Use it when the workflow is repetitive, depends on your preferences, or is easier to show than to describe in a prompt." — Record & Replay ドキュメントより
こうした作業は、手順を文章で正確に説明しようとすると長くなりがちです。実際にやって見せれば一度で伝わるため、プロンプトを練り込む手間そのものを省けます。毎月のように発生する事務作業を抱えている場合、最初の録画さえ済ませれば、次回以降は呼び出すだけで済みます。
向かない作業(1回限り・画面が頻繁に変わる作業)
逆に、効果が出にくい作業もあります。手順が毎回変わる作業、画面が頻繁に変わるサイト、1回しか行わない作業では、録画してスキル化する手間に見合いません。 成否の基準があいまいな作業も、Codexが結果を確認しづらいため安定しにくくなります。
公式も、手順が安定していて成功の基準が明確なときに最も力を発揮すると述べています。裏を返せば、その条件を満たさない作業は、無理に自動化せず人が行ったほうが早い場合があります。導入を考えるときは、まず「その作業が毎回同じ手順で、終わったかどうかをはっきり判断できるか」を見極めるのが近道です。
使う前に知っておきたい注意点・デメリット
便利な機能ですが、利用にはいくつかの前提と制約があります。対応はmacOSのみで、Computer Useの有効化が必要なうえ、録画中はパスワードなど機密データを画面に出さない配慮が欠かせません。
"Use realistic inputs, but avoid secrets and sensitive data." — 録画時の注意に関する記載より
提供地域にも制限があります。欧州経済領域(EEA)・英国・スイスは当初の対象から外れており、日本は利用できる地域に含まれます。また、現状はWindowsに対応していません。こうした制約は、業務での導入可否を判断する前に確認しておきたいポイントです。録画した作業を社内で共有・運用する場合は、機密情報の取り扱いについて勤務先のルールもあわせて確認しておくと安心です。
Record & Replayの対応環境とまとめ
対象者別の使いどころ
最後に、Record & Replay を導入するうえで押さえておきたい対応環境と、利用条件の全体像を整理します。下の表は、対応OS・必要な設定・提供地域・公開時期を一覧にしたものです。
対応OS・必要設定・提供地域の一覧
導入前に確認すべき条件は、表で見ると把握しやすくなります。macOS・Computer Useの有効化・対象地域であること、これらの条件がそろってはじめて利用できます。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応OS | macOS のみ(Windows は非対応) |
| 必要な設定 | Codexアプリで Computer Use(コンピュータ操作)を有効化 |
| 提供地域 | EEA・英国・スイスは当初除外(日本は利用可) |
| 公開時期 | 2026年6月18日(Codexアプリ 26.616) |
企業での利用では、管理者が設定ファイルを通じてComputer Useを有効にする運用も想定されています。個人で使う場合は、Codexアプリの設定から自分で有効化すれば準備が整います。
3つの自動化アプローチの違い
定型作業を任せる方法は、Record & Replay だけではありません。プロンプトで毎回指示する方法、従来のRPA、そして Record & Replay は、それぞれ得意な場面が異なります。 違いを押さえると、自分の作業にどれが合うか判断しやすくなります。
| 観点 | プロンプト指示 | 従来のRPA | Record & Replay |
|---|---|---|---|
| 教え方 | 文章で手順を説明 | 操作を記録 | 作業を実演して録画 |
| 画面変化への強さ | 文脈で対応しやすい | レイアウト変化に弱い | 意図を残すため対応しやすい |
| 中身の確認・編集 | 都度プロンプトを修正 | 設定の調整が必要 | スキルを検査・編集できる |
| 向く作業 | 都度内容が変わる作業 | 手順が完全固定の作業 | 手順が安定した繰り返し作業 |
手元の資料やマニュアルをAIに渡して整理させたい場面では、資料をあらかじめMarkdown(マークダウン)形式に整えておくと、見出しや表の構造が保たれて読み取りの精度が上がります。Webページをそのまま整形したいときは、次のツールが役立ちます。
入力したテキストやファイルはお使いの環境内で処理され、sakuttoのサーバーに送信されません。仕事の資料を扱うときも安心して整形できます。AIに任せる作業の幅を広げる流れは、ローカルLLMの実務活用ガイド や Claude(Anthropicの生成AI)の解説 もあわせて読むと、ツールの選び分けがつかみやすくなります。
Record & Replayのまとめと公式ソース
Record & Replay は、Macでの繰り返し作業を一度見せるだけでCodexに覚えさせ、次回から任せられる機能です。長い指示文に頼らず、実際の操作を意図ごと残せる点が、従来の自動化と一線を画します。手順が安定した事務作業や定期作業を多く抱えているなら、最初の一作業を録画してみる価値があります。一方で、毎回手順が変わる作業や1回限りの作業には向かないため、用途を見極めて使い分けるのが現実的です。
本記事の内容は、以下の一次情報(公式ドキュメント・公式告知)をもとに整理しています。仕様・対応環境・提供地域は更新されることがあるため、利用前に必ず公式の最新情報をご確認ください。