ワインの保管で押さえる4つの条件
保管条件は、突き詰めれば「ワインが変質する原因を遠ざける」の一点です。原因は温度・湿度・光・振動の4つ。これににおいが加わります。
保管の4条件
温度は13〜15度で、変動が少ないこと
温度の目安は13〜15度です。キリンは、比較的涼しく温度差の少ない場所で13〜15度が最適だとし、温度の高い場所はワイン変質の原因になると説明しています。
効いてくるのは絶対値より変動幅です。常に18度の場所と、10度と22度を毎日行き来する場所。平均が同じでも、負担が大きいのは後者です。日当たりのよい部屋の棚やキッチンのコンロ近くは、平均温度が低くても1日の振れ幅が大きくなります。
なお、この13〜15度は保管のための温度で、グラスに注ぐときの適温とは別の数字です。セラーを何度に設定するか、赤・白・泡で違う飲み頃温度とどう折り合いをつけるかは「ワインセラーの温度設定は何度が正解か|保管と提供で変わる」で扱っています。
比較的涼しく、温度差の少ない場所、13〜15度の温度が最適です。温度の高い場所はワイン変質の原因となります。
比較的涼しく、温度差の少ない場所、13〜15度の温度が最適です。温度の高い場所はワイン変質の原因となります。 — ワインの最適保存テクニックより
湿度は70〜75%を保つ
湿度は70〜75%が目安です。モトックスは理想的な保管条件として、温度12〜15℃、湿度70〜75%、温度変化や振動がないこと、紫外線が当たらないことの4点を挙げています。
湿度が問われるのはコルクのためです。乾いた場所に置くとコルクが収縮し、ボトルとの間にすき間ができて空気が入ります。日本の住宅は夏に湿って冬に乾くので、問題になりやすいのは冬。エアコンの風が直接当たる場所は、温度と湿度の両方で条件を外します。
ワインの理想的な保管条件は、①温度12~15℃ ②湿度70~75% ③温度変化や振動がない ④紫外線が当たらない ことです。
ワインの理想的な保管条件は、①温度12~15℃ ②湿度70~75% ③温度変化や振動がない ④紫外線が当たらない ことです。 — 保管条件の説明より
光・振動・においを避ける
残る3つは、置き場所の選び方がすべてです。サントリーの公式FAQは、温度の高いところ、湿度が低いところ、日光、振動はワインの保存に好ましくないとしたうえで、においの強い場所で保管するとワインににおいが移ることがあるとも書いています。
このにおいが見落とされがちです。洗剤や灯油を置いた物置、漬物や乾物のある食品庫は、温度と湿度が合っていても向きません。
温度の高いところ、湿度が低いところ、日光、振動はワインの保存には好ましくありません。また、においの強い場所で保管されると、ワインににおいが移ることがあります。
ワインは一般的に、ご家庭での長期の保存はおすすめできませんが、保存する場合は冷涼で多湿の暗所に置くようにしてください。/温度の高いところ、湿度が低いところ、日光、振動はワインの保存には好ましくありません。また、においの強い場所で保管されると、ワインににおいが移ることがあります。 — 保存の基本条件についての説明より
横に寝かせるべきかは栓で決まる
「ワインは横に寝かせる」は広く知られていますが、これはすべてのワインに当てはまるわけではありません。判断は栓の種類で分かれます。
栓の種類と置き方
コルク栓は横に寝かせる
コルク栓のワインを立てたまま置くと、コルクが液面から離れて乾きます。サントリーは、コルクは乾燥すると収縮して空気が中に入り込みワインの酸化をまねく恐れがあるため、横に寝かせて保存するよう説明しています。
横置きの目的は、コルクをワインで湿らせ続けることです。置いておく期間が長くなるほど、乾燥にさらされる時間も積み上がります。
栓がコルクの場合:コルクは乾燥すると収縮して空気が中に入り込み、ワインの酸化をまねく恐れがありますので、横に寝かせて保存をお願いします。
栓がコルクの場合:コルクは乾燥すると収縮して空気が中に入り込み、ワインの酸化をまねく恐れがありますので、横に寝かせて保存をお願いします。 — 栓がコルクの場合の保存方法より
スクリューキャップは立てたままでよい
スクリューキャップのワインは事情が違います。同じサントリーの公式FAQに、スクリューキャップの場合は横に寝かせて保存する必要はない、と明記されています。横置きはコルクの乾燥を防ぐための措置なので、コルクを使っていなければ理由そのものが当てはまりません。
手持ちを一律に寝かせようとして置き場所に困っているなら、まず栓を見てください。立てて置けるなら、同じスペースに入る本数が変わります。
栓がスクリューキャップの場合:横に寝かして保存する必要はありません。
栓がスクリューキャップの場合:横に寝かして保存する必要はありません。 — 栓がスクリューキャップの場合の保存方法より
セラーがない自宅でどう代用するか
条件を全部そろえるにはセラーが要りますが、飲むまでの数か月を持たせるだけなら家の中でも代用できます。
夏を越すなら床下収納や押入れ
サントリーは夏を越す場合について、床下収納や押入れ等の暗くて温度変化が少なく涼しい場所をすすめています。いずれも直射日光が入らず、外気温の影響を受けにくい場所です。
ただし同じ公式FAQには、家庭での長期の保存はおすすめできないとも書かれています。代用はあくまで代用。年単位で寝かせる前提なら条件が足りません。飲み頃まで数年あるワインを持っているなら、セラーか外部の保管サービスを検討する段階です。飲み頃の考え方は「ワインの飲み頃とは?熟成の仕組みと今飲むか寝かせるかの見極め方」で整理しています。
夏を越す場合には、床下収納や、押入れ等の、暗くて温度変化が少なく涼しい場所に入れることをおすすめします。
ワインは一般的に、ご家庭での長期の保存はおすすめできませんが、保存する場合は冷涼で多湿の暗所に置くようにしてください。/夏を越す場合には、床下収納や、押入れ等の、暗くて温度変化が少なく涼しい場所に入れることをおすすめします。 — 前者は回答冒頭の総論、後者は夏を越す場合の説明より
冷蔵庫を使う場合の注意
冷蔵庫を使うなら、庫内で温度が下がりすぎない野菜室が候補になります。ただしワイン用に設計された場所ではないため、短期間の置き場所と割り切るのが前提です。
注意点は2つ。扉の開閉による温度変化と振動、そして庫内のにおいです。前の章で触れたとおり、においの強いものと同じ空間に置くとワインに移ります。新聞紙や緩衝材で包んでおくと、光とにおいに直接さらされる状態は避けられます。
開けたあとは原則冷蔵
開栓した瞬間、条件は別物になります。サントリーが2015年に行った実験では、常温保管と冷蔵保管を比べて、1週間後まではほとんど差が出ませんでした。差がはっきり出たのは2週間後で、常温のものは傷んだ印象になっています。
実験の結論も「一度開けたら原則冷蔵保管するのがいい」でした。開けたその日に飲みきる必要はなく、カジュアルなワインで3日、力強いワインなら1週間はおいしく飲めるという結果も同時に出ています。
★★ カジュアルなワインは3日、力強いワインは1週間はおいしく飲める! ★★
今回は実験のために常温保管でも試しましたが、一度開けたら原則冷蔵保管するのがいいと思います。/★★ カジュアルなワインは3日、力強いワインは1週間はおいしく飲める! ★★ — 保管方法の違いと経時変化の結論より
本数が増えたときの保管管理
条件を整えたあと、本数が増えると別の問題が出ます。置き場所の管理です。
詰め込みすぎると奥が死蔵する
セラーを買うと、つい上限まで詰めたくなります。ただし積み上げて詰めると取り出しにくくなるだけでなく、温度管理にも影響が出るとメーカーが説明しています。
そもそも公称の収納本数どおりに入るとも限りません。収納本数はボルドータイプの細身のボトルを基準にしているものが多く、肩の張ったブルゴーニュタイプやシャンパーニュのボトルが多いと、公称より少ない本数で埋まります。買い替えを検討するなら、カタログの本数ではなく実際に入った本数で見てください。並べ方の考え方は「ワインセラーの整理術|棚のゾーニングと位置の記録方法」で扱っています。
ワインボトルの上に積み上げて収納すると、より多くのワインを収納できますが、ワインが取り出しにくくなるばかりか、適切な温度での保管も難しくなります。
ワインボトルの上に積み上げて収納すると、より多くのワインを収納できますが、ワインが取り出しにくくなるばかりか、適切な温度での保管も難しくなります。 — 「CHECK 02 冷却効率を下げない収納本数か?」より
ワインセラーの収納可能本数は、ボルドータイプのボトルを基準にしているものが多いため、ブルゴーニュボトルやシャンパーニュボトルといった太いボトルを入れようと思うと、スペック通りに入らないケースが出てくるんです。 — コラム中の専門家の発言より
どこに何があるかを記録する
条件を満たした場所に置けても、どこに何があるか分からなければ、探すたびに扉を開けることになります。開閉のたびに庫内の温度は上下します。探している時間の長さがそのまま保管条件を悪くしていく、という関係です。
記録の方法は、本数によって変わります。数十本までなら表計算で足り、列の設計は「ワインの在庫管理をエクセルで作る方法|列の設計と限界」で扱っています。棚のどの段のどの位置かまで押さえたい場合は、セラーの棚を画面上に再現して記録できるアプリのほうが向きます。
ワイン在庫管理アプリのShelvinは、複数のセラーを登録してどの棚のどの段にあるかを視覚的に残せます。無料で16本まで登録でき、位置管理も無料の範囲で使えます。アプリごとの違いは「ワイン在庫管理アプリおすすめ比較|棚位置まで管理できるのは」でまとめています。
セラー登録と保管場所記録:複数のセラーを登録し、どのワインがどの棚(列/段)に保管されているかを視覚的に記録できます。
セラー登録と保管場所記録:複数のセラーを登録し、どのワインがどの棚(列/段)に保管されているかを視覚的に記録できます。 — グラフィカルなセラー管理の説明より
Free ¥0 16本まで登録可能 ラベルスキャン(週2回まで) セラー位置管理機能 広告表示あり — 「料金プラン」Free プランの掲載項目より
まとめ
ワインの保管で押さえるのは、温度13〜15度・湿度70〜75%・光と振動を避ける・においの強い場所を避ける、の4つです。数値を厳密に合わせることより、変動が少ない場所を選ぶことのほうが効きます。
横置きは全部のワインに要るわけではありません。コルク栓は乾燥で収縮するため横に寝かせますが、スクリューキャップは寝かせる必要がないとメーカーが明言しています。置き場所に困っているなら、まず手持ちの栓を確認すると、必要なスペースが変わります。
セラーがない場合は、床下収納や押入れが代用になります。ただしメーカー自身が家庭での長期保存はすすめないとしているため、飲み頃まで数年あるワインを持っているなら、代用でしのぐ話ではなくなります。開けたあとは原則冷蔵で、その日に飲みきる必要はありません。
条件を整えたあとに残るのは、どこに何があるかという問題です。探す時間が長いほど扉は開きっぱなしになり、庫内の温度が動きます。棚の位置まで記録して探す時間を短くしたい場合は、無料枠でも位置管理が使える Shelvin(App Store) から試すと、保管環境そのものへの負担も減らせます。

